建築との出会い Beginning
中高校生の頃、放課後、学校のある西日暮里から上野まで歩くのが好きだった。
東京文化会館の音楽資料館で、クラシックをオーケストラの譜面を見ながら聴くためだ。途中、「谷根千」といわれる下町の、曲がった道や坂道を寄り道しながら歩く。譜面を見ながら、いろんな楽器の音をどう組み合わせたらこんな音楽になるんだろう、と不思議だった。
そう、建築の図面もオーケストラの譜面に似ている。そこから「どんな建築が立ち上がるのだろう?」
そんな興味がきっかけだったように思う。
当時は知る由もないが、僕が初めて意識した建築は、前川國男設計の東京文化会館と、「谷根千」の街並み。そして、オーケストラの譜面。